「ものづくり」を成功させる、不可欠になる。~KARAKURIST 芹沢憲二
こんにちは! カラクリ People & Culture の川島です。
『 カスタマーサポートを エンパワーメントする』という Purpose への挑戦を始めたカラクリ。
“ Empowerment ” とは、本来持っている潜在能力を引き出し、湧き出させる、つまり『力を与える』ことを指します。
カラクリには、” Empowerment ”というキーワードに強い想いを持つ、優秀で魅力的な KARAKURIST-カラクリスト-が多く在籍しています。今回は2021年9月にカラクリに入社し、プロダクトの品質を担う QA Team の Leader 芹沢憲二さんの『これまで』と『これから』に迫ります。
KARAKURIST – 芹沢憲二
Serizawa’s Profile
■1983年生まれ。群馬県出身。趣味は釣り。カラクリでも釣り仲間を積極的に募集中。
■カラクリでは1人目QAとして2021年9月よりジョイン。現在は chapter_QA のLeader を担っている。
■2022年10月よりQA Team が新設、Team Leader を務めていく。
ーーまずは芹沢さんのキャリアを教えてください。
先にお伝えしておくと、これまで取材されていたカラクリストと比べて華やかな経歴ではありません(笑)。
20歳で社会人になり、アミューズメントの業界で店舗運営、工場での製造・作業員など、最初の4年は “ IT ”とは近くない世界で働いていました。ルーチン的な業務の多い仕事をしていた日々を過ごすうちに、段々と「新しいこと」への憧れや興味が生まれ、工場で働きながら “ IT ”の勉強をはじめ、テスト会社に転職。この3社目からがQAエンジニアとしてのキャリアになります。3社目では富士通の子会社に常駐し、銀行のATMなどに採用されている静脈認証システムのテスト担当としてキャリアスタートしました。テストやテストアプリの開発経験を積んでいき、3年が経つ頃には現場のテスト・リーダーとしてテストメンバーの管理や、テストプロセス全般の管理など、QAエンジニアとして重要な仕事を任せて頂けることが増えていました。
その後もERPパッケージのシステムテスト、ECサイトのテスト、ID管理システムのテスト、求人サイトのテスト、テレフォニークラウドサービスのシステムテスト、学習アプリのテストなど、様々な客先でテスト業務を中心に経験を積んできました。
その後、前職のDeNA社に客先常駐としてジョインし、モバゲーサイトの品質管理業務を請け負っていました。働いている中で、優秀な人と仕事をする楽しさを知り、DeNA社のカルチャーが肌に合ったこともあり、そのまま契約社員として転職、後に正社員になりました。各事業のプロダクト開発におけるテストフェーズのリーダーを務め、テスト活動全般の管理、メンバーの管理などを5年に渡って濃密に経験し、現在(カラクリ)に至ります。
ーー前職(DeNA社)はどうでしたか?
多くの機会に恵まれたな、と思っています。特に1社に務めていながら、本当に数多くの事業や人と関わることができたところ。ゲーム事業が有名ですが、ゲームだけではなく多種多様な事業を展開している会社です。私がいた品質管理部門は横断部門であり、各事業部に寄り添って品質管理に務めることが主力業務でした。感覚としてはテスト会社にいた頃と比較的似通った業務でしたが、正社員という立場で外部の人よりも多く品質に責任を持って活動していたイメージ(外部だと品質に責任を持たないとかそういう意味ではありません)。各事業部のサービス、プロダクトを理解しながらテスト管理を進めていくことはもちろん、本当に多くの人と関わり、日々調整が必要な業務でした。脳の切り替えがとにかく必要でしたし忙しかったです(笑)。ドメインが変わればやらなければいけないことも変わるし、テストの進め方1つにしても課題、要求に合わせて工夫し考えながら進めていかなければならないので、「ある1つのやり方」を持っているだけではうまく業務をこなせるものではなかったんです。なので様々なテストの進め方を経験し、学び、スキルアップしていくことができました。
社内でのプロセス改善や活動分析の事例を紹介するために、品質シンポジウムの経験発表で登壇したのは特別な思い出です。品質シンポジウムでの登壇の機会を得るには、提出する資料が審査を通過する必要があり、日々とても忙しい中で登壇に向けた資料作成の準備をしたり、実際に審査を通過して社内の取り組みを発表することができたのは嬉しかったですね。
また、この当時も今のカラクリと同様に、とにかく周りには優秀な人が多くいて、その優秀な人達に囲まれながら業務を進めていく経験だったので、環境にも本当に恵まれていたなと今でも思います。良い意味で周りの人のスキルをどんどん盗んでいくこと、食らいついて学び、日々成長していくことにとにかく必死でした(笑)。
あと、私としては在籍していた7年間で頑張って「のしあがった」組だったんじゃないかと自負しています。初めは派遣社員としてテスターから入り、契約社員になって正社員になって。最後は1QAチームのリーダーの役割になり、プロダクト(サービス)を見るだけではなく、人や金、コストマネジメントも見るようになって…気がつけば1事業の品質を見るだけでなく、複数事業の品質管理に責任を持つようになって。期待に応え続けるのに必死で、とにかく濃密な日々でした。
自分は開発を主としていた開発エンジニアのキャリアはないので、正直、開発のスキルは弱いです。だからこそ支援・調整といった泥臭い仕事を極めようとやってきて、それを前職では特に評価頂き、チャレンジさせてもらえたのかな?と思っています。
開発に憧れたからこそ、QAとして生きていく。
ーーそこからカラクリに入社した経緯を教えてください
現場のテスターからマネジメントまで経験したことで、改めて「プロダクトや開発エンジニアに寄り添いたいな」と強く思ったことが、まず転職のきっかけです。
テスターから始まったキャリアだから、なのかもしれませんが、私は現場で開発している開発エンジニアをリスペクトしていますし、彼らを直接支援することが好きなんですよね。しかし3〜4つの事業部を横断的にマネジメントしていた後期は、人の採用や、内部外部含めたテスターさんのケアなど、業務のほとんどが人のマネジメントしかできなくなっていました。多いときには内部外部メンバー含めて50〜60名規模ですから。もちろん品質管理の観点で、人に関するリスクを抑えることは重要なんですが…やりたいこととは違ったんですよね。
もっとプロダクトや開発エンジニアを支援できるQAになりたい、と思った時に、足りないものは開発を含めた「技術」に関する知識と経験でした。そこに今まで以上に触れていくには、DeNA社が品質管理部門に求める役割と距離感では難しいなと感じ、転職活動をしました。
そこからカラクリに入社を決めた理由は2つです。
1つ目はCTO/CPOの中山が語ったプロダクトへの想いに応えたくなったことです。正直、中山から話を聞くまでは KARAKURI というプロダクトも知らなかったですし、CS(カスタマーサポート)の課題感もわからない、AIに関しても明るくはないという状態でした。ただ「わからない」からこその興味はあったと、今は思います。そんな自分に、自然体で、素直な想いを語ってくれるキャラクターにリスペクトできましたし、その人から「カラクリには優秀な開発メンバーがいる」「まだ1人もいないけど、QAをカラクリの強みにしたい」と言ってもらえたことでQA魂に火がつきました。これまでのマネジメントも含めた経験を還元しながら、中山の気持ちに応えられるQA組織をイチから作りたいと思えたことが、決め手のひとつです。
2つ目は事業ドメインが好きだな、と感じられたことです。DeNA社で唯一「うーん」と思っていたのが、任されていた事業ドメインでした。ゲームやライブ配信などのいわゆるエンタメ領域というのは、(もちろんいいサービスなんですけど)「あったら楽しいもの」という余暇のような要素が強い。私の好き嫌いでいえば、本当に困っている人や社会課題に貢献できるようなプロダクトが好きでした。前述した静脈認証システムなんかは好きでしたね。そういう意味でカラクリの事業、解決しようとしている大きなテーマがまさに私が好きなことだったところも、意思決定の要因です。
ーー大企業からスタートアップに来て感じることはありますか?
スタートアップ、というよりはカラクリに思うことかも知れませんが、組織自体がチャレンジしているフェーズなので、自分と会社の成長を一緒に楽しめていると感じています。QAの組織を一から作っていく上でもそうですし、各々の裁量が大きく、責任を持たせてもらえるため物事が進むたびに成長実感を感じられます。
あとは「組織」というよりは「チーム」という感覚が強いところですかね。(範囲にもよりますが)意思決定までの時差は少ないですし、正すべきものは正す姿勢や、体裁よりも本質に向かうための行動が多いのは「チーム」だからこそ成り立っているかも知れません。
スピード感を大事にする視点なので、リスクと向き合ってひとつひとつキッチリやることが求められるQAとしては「どうなの?」と矛盾を感じられるかもしれませんが、私個人としてはこの環境の中で仕事ができることは好きですね。
ーー入社してから今日までの取り組みや、自身の「こだわり」を教えてください。
「会社としてQAを強みに」宣言を粛々とカタチにしているところですね。私が入社するまではテストは外注していましたが、一部内製化を進め、自分自身もテストに手を動かしています。並行してQAのプロセス・テストフローや内容の見直し、仲間集め(採用)、開発プロセスやフローを改善する取り組みなど、QAという機能を強化するために土壌整備をしていました。QAはどうしてもコストがかかってしまうので、テストの自動化など、少しでも効率的にやれるようなアクションも今後増やしていきたいと思っています。
QAという仕事をする上でこだわっていることは…まずは「品質」ですね(笑)。どうしてもQAは後工程の仕事だったり、発生ベースの仕事だったり、受身的な仕事が多いです。なので相談に対しては、それこそ bot に負けないスピードでできるだけ相談に乗る「スピード品質」と、解決できるかどうかは別として、相談を断らない、相談に乗ったら解決するか解決できる人・手段を繋ぐ「対応品質」は常に意識してやっています。自分達起点で動くことには限度があるので、とにかく役に立てるようにしています。
そしてもうひとつ、もっとも重要なのは「絶対にサボらない」ということです。これは私がQAを生業としている、生業にできている理由でもあります。エンジニアとして仕事をしていくと決めた日から「開発」という0→1の領域には憧れも興味もすごくありました。ただ、元々スキルなんてなかった私がエンジニアとしてやっていくには、できることから全力でやっていくしかない。それがテストやQAの領域でした。
開発エンジニアの人の多くが、QAやテストの仕事は嫌いだと思います(笑)。嫌いというよりは、真面目に取り組みづらいプロセスなのかも知れません。だから開発とテストは分業になりがちなんだと思います。一方で私はキャリア初期の経験もあってか、泥臭いことを真面目にできる(やってきた)性格でもありました。開発エンジニアが苦手な仕事で、自分は活躍できるんです。
私の軸はプロダクトと開発エンジニアの支援です。開発に憧れがあるからこそ中途半端にやるよりも、開発の人たちを助けられるように泥臭く面倒臭いことも、真摯に真面目に、サボらずにやっていく。開発に憧れたからこそ、QAとして支援したいし、QAとして生きていく以上、ここだけは絶対に誰よりも「こだわり」を持たなくてはいけないんです。
「品質づくり」も「ものづくり」。
ーー芹沢さんからみて『カラクリ』のエンジニア組織やプロダクトはどうですか?
中山から聞いていたものの「人」のレベルの高さには驚きました。みんな謙虚にしているのに、とても賢い人達ばかりですし、真面目だし仕事に真摯。DeNAにいた時も「周りは優秀だな〜」と感じていましたが、カラクリはそれ以上。少数ながら雑味のない“全員優秀”なんて組織ははじめてです。しかもエンジニア同士にお互いリスペクトがある。
QAという部門があると、よく開発部門と品質に関してバチバチやり合ったり、良くない意味でのぶつかり合いの姿を見てきていますし、自分自身も過去に経験していたこともあります。でもカラクリの場合は違って、そこにお互いの理解とリスペクトがあるんです。だから必要な議論がロジカルに成立する。例えば VP of Engineer の宇波さんや、Dev Teamのリーダーの泉さんは、開発の技術はもちろんですが、取りまとめる力や会話力も持っていて凄いなと思います。
開発エンジニアは世の中に多くいますし、開発者同士でならうまいこと会話できるという方は多い。でもそれとは違ってカラクリの開発エンジニアが凄いのは、高い技術力を持ち、そのうえで誰とでも適切なコミュニケーションをとれることです。日頃からビジネスサイドへの関心も高いですし、色んな情報・体験から学ぼうとする姿勢が強いからこそかもしれません。
本当に全員が優秀なメンバーですし、その人たちと仕事ができるのはモチベーションです。
開発は AI Team と Dev Team が主導しています。彼らが手がけるプロダクトはシンプルでわかりやすい。これはお客様の「使いやすさ」にこだわっているからでしょう。もちろん、改善すべきポイントも多くありますが、どんなコンセプトなのか・何を解決できるのか・どう使うのかが、感覚でわかるというのはいいですよね。あとは搭載されている AI を育てるためのトレーニング機能なんかも「お客様と一緒にプロダクトを育てていく!」という意志が現れていますし、育てるゲーム性も感じられたり面白い工夫がされていますね。
ーーQAとしての「難しさ」はどんなところにありますか?
社内も含めてですが、周りからは「QAって何しているの?」と思われてしまうことですね。QAの存在価値って「問題が起きていない」ようにすることなんですけど、物事がうまく進んでいるときほど存在感って薄れるんですよね(笑)。そのあたりの期待値調整と言いますかQA活動価値の可視化みたいなことは、ちゃんとしていきたいと思います。
あとはQAの仕事は属人化しやすいことですね。一般的にはプロダクトの品質保証のためのテスト活動が主軸業務であるため、例えばテストスキルのことでお話すると、機能テストに関する詳細はQAエンジニアとしての必須スキルなので割愛するとして、特に属人化しやすいのは非機能部分に対するテストスキルです。非機能とは「可視化されていない仕様」に対する機能部分のことで、このような暗黙的な部分に少しでも多く気づけるように、良く思考を働かせて仕様把握を深堀っていきながら、仕様詳細の可視化・整理を進めていく必要がある。アジャイル開発の文化がどんどんと進んでいる今日では、テストにおいてはこのスキルはとても重要であり「良いテスト」を進めるための必須スキルです。結局、開発者と同じ視点でテストをするだけではバグは見つけられないわけですから。でも、このテストスキルはちょっとテストをしただけですぐに習得できるものでもなく、結局それなりの経験値が必要。それと、例えば過去経験に基づく観点を全て可視化したとしても、その中で汎用的なものがいくつかあったりはするものの、細かいテスト観点について考える際は、結局はケースバイケースのことが多く、膨大になりすぎて機械的には活用できないことが殆ど。つまり、常にその時その時のプロダクトに対する機能要求、機能仕様、仕組みに合わせてうまいことテストを組み立てていく必要がある。このように、効率良く且つ良いテストを進めるためのスキルは、経験値に依存することが多くとても可視化しにくいんです。
また一方で、テストを進める上で外部のリソースを用いる必要があるときは、外部のテスト内容を含めたテスト活動全体のマネージメントが必要だったりします。でも、お話したように「良いテスト」を進めるためには、可視化しにくい部分のマネージメントが必要になったりもするため、結構難しいんです…。
ーー芹沢さんが実現したい“ Empowerment ”とは、どういったカタチでしょうか。
テストには広い知識を求められたり、テストという主軸の業務をやりながら、「品質」という視点で様々な活動に関わり調整をしているのがQAという役割です。業界業種、現場や組織、提供するサービスによって求められるスキルや立ち回りが大きく変わるのもQAです。領域が変われば自分が活躍できるかもわからない、なかなか大変な仕事です。だからこそ、少しでも開発に寄り添えるように、貢献できるように、自身のエンジニアリングスキルを高めていきたいと思っているのが個人の成長目標です。
カラクリにとってハッピーなのは、正直「私がいなくなってもいい」状態です。それがQA活動の究極なので…すごく複雑ですけど。
でもやっぱり、私はどんな状況においても必要とされる、いないと困るQAでいたいと思っています。
エンジニアであれば、自身が開発したものをリリースすることには誰もが不安を抱えていると思うんです。「本当に大丈夫か?」と自分で何度確認しても、その不安はやっぱり自分だけだと消えない。「バグがあります!!」という報告があがってくる可能性はリリース以降も抱えている。だからこそ専門的に、そこに責任を持てるQAがいることで、精神的にも安心できると思いますし、彼らのパフォーマンスを最大化することに繋がると考えています。
そう考えて仕事をしていることもあってか、私はテストを楽しんでいたりします。リリース前にやるという前提ですが、バグを見つけるのって宝探し感があって凄く楽しい。「開発したものの品質に自信がある」と言われたものに対し、テストをすることでエンジニアが「アッ」というものを見つけてやろうと、息巻いています(笑)。
今の私、これからの私が「開発」を主戦場とすることは恐らくないでしょう。なぜなら開発のプロフェッショナルは良い意味で諦めているから。私はあくまでもQAのプロフェッショナルで生きていきたい。
QAの面白さは「品質」の視点で「ものづくり」の一因を担っていること。プロダクトをより良くする、世の中にいいものを提供するには「品質」は欠かせません。お客様に恥ずかしくないものを提供する、品質がお客様の課題にならないようにする義務があります。「ものづくり」をリードするのは開発ですが、私は「品質づくり」も「ものづくり」だと思っています。
優秀な開発エンジニアが作ったプロダクトを、顧客にどう振る舞うか、どう提供するのか。
利用時の「品質」というお客様視点から「ものづくり」に貢献すること。
それこそが、私の考える開発を支援するQAのあるべき姿だと思っています。
世の中を良くするために。自分のできることを拡げ、貫く。
世の中を良くするために。開発エンジニアの安心になる。
「ものづくり」を成功させる、不可欠になる。それが私の掲げる“ Empowerment ”のカタチです。
カラクリでは、芹沢と一緒に「カスタマーサポートをエンパワーメントしていく」仲間を募集しています。